水を知る
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水のカタチ
霜月(しもづき)とは旧暦で11月のことされますが、現代の暦では12月ぐらいころのことで、このころから霜が降り始めることがその名の由来のひとつとされています。昔から12月には霜が降りていたのでしょうね、きっと。霜は冬の季語。有名な句もたくさんあります。
「葛の葉のおもて見せけり今朝の霜」 松尾芭蕉
「土ともに崩るる崕(がけ)の霜柱」 正岡子規
「霜」は降りるといいますが、寒い日の朝に土を踏んでザクザクと音がする「霜柱」は柱だけに立つと表現されます。この2つ、同じように氷の結晶を作りますが、実はでき方やできるときの条件が異なり、どうやら「降りる」と「立つ」という言葉に、それぞれのでき方の違いの秘密が隠されているようです。
「霜」は、土や草や木の葉の表面にできる氷の結晶で、空気中の水分が凍ったもの。気温が下がって土や草や木の葉などの表面が0度以下に冷え、近くにある空気中の水分がその表面に触れたとき、一気に氷へと変わるのが「霜」です。気体から固体へと一気に変わる現象を昇華といいますが、霜は空気中の水分が冷たい物に触れて昇華してできるため、さっきまでそこになかったのに突然現れた様子を「降りる」と表現したのではないでしょうか。
「月夜の大霜」ということわざがありますが、美しい月夜の翌朝は霜が降りているという意味。つまり、風と雲がないことも霜が降りる条件。地表の温度が0℃近くになる気温4℃以下で風も雲もない朝に、霜が降りる光景に出会えるかもしれません。
一方、「霜柱」は、土の中に含まれる水が冷たい外気にさらされて氷に変化したもの。しかも、外気は0℃以下、地中の温度は0℃以上であることが霜柱ができる条件だといいます。地表近くの水が外気にさらされて氷になると、地中の下の方にある水分がどんどん地表に吸い上げられていき、そこで徐々に氷になって積み重なっていって霜柱になるのです。
水は氷になると体積が増えるという特性があるため、どんどん霜が柱のように高くなっていき、霜柱が「立つ」のです。踏むとザクザクと音がしてすぐに崩れてしまいますが、これは霜柱と霜柱の間に空気が入っているためです。
とはいえ、なぜ、外気は0℃以下で地中の温度は0℃以上でないと霜柱ができないのでしょうか。霜柱ができるときになぜ水は地中から地表へと吸い上げられるのでしょうか。これには実は、水ならではの特性が関係しているようです。そのお話は、次回で!
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