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体のために、健康のために、「1日にどのぐらいの水を飲めばいいのか?」という長年の疑問の答えは、「1日に私たちがどのぐらいの水分を体から失うのか」という研究によって導き出されました。失う分を入れましょう、というシンプルなお話ですが研究には莫大な労力と時間がかかるものです。

Dermatology
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illustration: HONGAMA
「1日に飲むべき水の量」問題ついに決着!?
2023/12/19

1.5ℓなのか2.5ℓなのか──、これまでさまざまな説が飛び交っていた「私たちは1日にどのぐらいの水を飲むべきか」問題に、ようやく結論が出たのをご存知でしょうか。欧米では1日8杯のコップの水を飲むというのが広く知られていますが、実はこのコップ8杯は昔の論文やレポートを元にしたもので1杯の量については、8杯で2.5ℓだ、いや1.9ℓだとさまざまな説があるよう。日本でも1ℓだ、いや2ℓだといろいろな声がありますが、昨年発表された国際共同研究*1で1日に飲むべき水の量がようやく明かされました。

結論はというと、2ℓもの水を飲む必要はなく、また飲むべき水の量はざっくりいうと「人によって違う」というのです。
 
23カ国に住む生後8日の乳児から96歳の高齢者まで男女計5604人で、体の水分量や水の代謝回転率(体の水分量に対して1日に失う平均的な水分量の割合)の調査*1を行ったところ、1日に飲むべき水の量は年齢・性別・場所・職業などのさまざまな要因によって「異なる」という結果が出ました。
 
この調査は、体が失う水分量に着目して導き出したもので、平均すると1日に体が失う水分量が最も多いのは20~35歳の男性で4.2ℓ。女性は30~60歳で平均3.3ℓで、1ℓ近くも異なりますが、ともに1日に体内水分量の約10%にあたる水分が失われることを示していました。また、男女ともに加齢とともに低くなり90歳では男女に違いはなく平均2.5ℓだったといいます。

とはいえ、失う分を全て補給する必要があるかといえばそうではなく、体内では「エネルギーが消費される際に生み出される水」があり、また「呼気からも水分は入る」ので、それらを差し引くと「失われた分の85%程度」、つまり男性なら約3.6ℓ、女性なら約2.8ℓを補給すればいいことがわかりました。

さらに重要なのは「食事からかなりの水分量をとっている」という点。日本人は一般的な食事を3食とると、補給するべき約半分の水分を摂取していることになるため、3食きちんと食べていれば飲料として必要な水分は「男性なら1.5~1.8ℓ、女性なら1.3~1.4ℓ」であると結論づけています。気温や湿度、運動量、年齢、体格などによっても異なるため、あくまで平均値とのことですが、これが1日に飲料として摂取するべき水の目安量。

今回の研究では、高温多湿の環境や高地に住む人、アスリート、妊娠・授乳中の女性などはより多くの水分が必要だということもわかりました。体は約60%が水分なので、確かに体格が違ったり、湿気の多い・少ないなど住んでいる場所によって必要な水分量は違うというのは当然のことかもしれません。

以前の「冬こそ水分補給が必要なのは空気との戦いだから!?」の記事で「水分補給は1日1.2~1.5ℓを目安に」と書きましたが、今回の研究結果を受けて「水分補給は男性なら1日1.5~1.8ℓ、女性なら1.3~1.4ℓを目安に」に訂正します。ただ、冬は皮膚から失われる水分「不感蒸泄」の量が夏より多いのはお伝えしたとおりなので、冬こそ水分補給はしっかり行いましょう。

*1 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所と早稲田大学・京都先端科学大学・筑波大学・米国・英国・中国・オランダ等の研究者が共同で、23カ国に住む生後8日の乳児から96歳の高齢者まで男女計5604人で調査を行った結果。論文

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