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2024.06.05

肌と髪の構造から見る「水の居場所」について語り合った、第5回AIR Café(アイルカフェ)、無事に終了

AIR Magazine(アイルマガジン)主催のAIR Café(アイルカフェ)が、2024年5月 30日(木)に開催されました。第5回となる今回は、「肌と髪、水の居場所」をテーマに、会場に、関西学院大学の中沢寛光先生をお迎えし、さらにお二人の先生にお話いただいた後、恒例のディスカッションタイム。今回も時間を忘れて語り合いました。

「肌と髪、水の居場所」と題し、皮膚や毛髪の中で水はどこで何をしているのか?──皮膚と毛髪の構造研究を通して、生体内の水を探ろうというのが今回のAIR Caféのテーマ。肌についてはこれまで何度か話していますが、毛髪について深く探るのは初めてです。

まず、会場で、関西学院大学理工学部の中沢寛光先生が「肌と髪、生体内の水の動きを捉える」と題して、肌と髪に水がどのように浸透するのか、研究の成果を交えてお話いただきました。中沢先生は、皮膚の角層構造や経皮吸収の研究がご専門。皮膚のバリア機能を担う、角層の細胞間脂質の特性をSpring-8(スプリング8)でX線や電子線等を用いて解明しています。今回は、皮膚や毛髪に水が入った時の生体内での動きを可視化し、通常の水とナノサイズ微細水粒子が異なる動きをするという研究結果から、ナノサイズ微細水粒子が皮膚や毛髪に「スピーディー」に入って「とどまる」可能性を解説されました。

関西学院大学・中沢寛光先生

次に、皮膚から薬剤を必要な場所に、必要な時に、必要な量を届けるDDS(Drug Delivery System)の研究者である、九州工業大学大学院情報工学研究院・引間知広准教授が「皮膚の構造と薬物の経皮吸収」をテーマに、皮膚に備わった細胞間脂質のバリア機能や代謝酵素など複数の防御体制をどう超えていくのかという、経皮吸収についてのお話と、さらにナノサイズ微細水粒子がバリア機能を突破して表皮の奥へとどまる可能性について解説されました。

毛髪については、毛髪に関する様々な研究に精通している椙山女学園大学の上甲恭平名誉教授が、毛髪の構造について丁寧に解説。中沢先生の研究成果についても、毛髪の中で通常の水が入らない場所にナノサイズ微細水粒子が入っている可能性やその意義についてお話しされました。

皮膚の経皮吸収について語る、九州工業大学大学院・引間知広准教授(写真左)と、毛髪の構造について語る、椙山女学園大学・上甲恭平名誉教授(写真右)。

ナノサイズ微細水粒子が皮膚のバリアを突破してとどまるのは? ナノサイズ微細水粒子だけが毛髪の奥へ入るのは? 皮膚は脂質、毛髪はタンパク質、水粒子とそれぞれの境界線では何が起きているのか?──九州大学の山本智教授、名古屋工業大学の黒田孝二博士をはじめ、研究者、医師、美容師など職業も分野も多彩な参加者のみなさまの間で質問や意見が飛び交い、さまざまな見解が述べられました。

ディスカッションタイムは、職業や研究分野を超えて様々な視点から意見交換。画面中央はHONDA PREMIER HAIRの森元智也さん、右は引間教授。

1時間半にわたり大いに盛り上がった第5回のAIR Café。この模様については、のちほどこのWEBマガジン内にアップする予定です。
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AIR Café#005は株式会社アイシンの東京オフィス(赤坂)から配信。(写真左から)アイシンのAIR研究開発室・田端友紀室長、AIR事業推進部・井上慎介部長、関西学院大学・中沢寛光先生、AIRマガジン編集長・中能 泉、写真:森本洋輔